月刊「住民と自治」に目黒区政白書2024の原稿が掲載されました
自治体研究社が発行する月刊「住民と自治」4月号(3月15日発売)に目黒区政白書2024について書いた私の記事が掲載されました。記事の全文は以下のとおりです。
区長選挙に向けて「目黒区政白書2024」を発行したら情勢が動いた?
明るく住みよい目黒を考える会(しろめくろめの会)世話人 高村重明
公約を果たさず20年間も居座り続ける現区長
目黒区長選挙は2024年4月21日投票で行われます。2020年の前回選挙では5期目をめざす現職区長(自民、公明推薦)の3万178票に対し立憲、共産、社民、ネットの野党共闘が推す女性候補(元立憲区議)が2万6908票と3千270票差にまで迫りました。現区長は自殺した前区長の疑惑を解明する、区議会議員選挙と区長選挙を同時にするため任期途中で辞任する、多選禁止条例をつくるという公約を一つも果たさず20年も居座り続けています。2010年には財政危機を宣言し3年間で180億円もの負担を区民に押し付けました。結局赤字には一度もならず積立金は654億円(2023年度末)にも達しています。しろめくろめの会では前回選挙でも区政白書を発表しましたが選挙直前だったためあまり力になりませんでした。そこで「目黒区政白書2024」づくりは2023年1月にスタートし11月1日に発行することができました。
情報開示とオシントを駆使
区政白書づくりでは情報開示とオシント(オープン・ソース・インテリジェンス=公開された情報を分析して事実を明らかにすること)の手法を活用しました。民間委託された学校給食調理業務で3年間に122件もの事故が発生し、異物混入74件、アレルギー除去食ミス17件など子どもの命や健康が危ないこと、現職区長が1年に355日も専用の車を乗り回し、年間5トンものCO2を排出、千306万円もリース料を払っていること、10年間に退職した幹部職員58人中34人が外郭団体に天下り現在も在職している11人に年7千924万円も給料を支払っていることなどを情報開示で明らかにしました。東京都選挙管理委員会のホームページに載っている3年分の政治資金収支報告書から現職区長への寄付は自分が出した150万円のほかは正体不明の個人からの毎年35万円しかなく、政治活動は選挙のときの2回の全戸配布しかないこと、目黒区のホームページに載っている議員の政務活動費報告書と領収書から選挙活動との線引きが難しいため按分が求められている電話代とガソリン代を全額政務活動費として支出した議員が3人いてそのうち2人が落選したことなどをオシントにより明らかにしました。
区民の財産が民間デベロッパーのもうけの手段に
目黒区の今後を決める焦点が目黒区区民センターの建て替え問題です。図書館、児童館、美術館などからなる複合施設(区民センター)部分と公園部分、隣接する小学校部分の計約3万㎡が官民連携の名のもとに民間デベロッパーの利益追求の場となろうとしています。20mの高さ規制が50mに緩和され新、たな区民センターには民間施設尾(おそらくマンション)が併設されます。公園には体育館が建ち小学校は区民施設を含む複合施設になります。民間施設の70年間の定期借地権料で区の負担を減らすという構想をまとめたのは秘密主義で住民敵視、高さ規制緩和が問題のコンサルタント会社でした。民間施設の利益優先のため公共部分は最小限に圧縮され、社会教育館や勤労福祉センターは廃止されます。まだ使え、それ自体が美術的価値のある美術館も取り壊されます。区民センターの建て替えは今後の区有施設建て替えのモデルケースとなります。財源はあります。利用者、区民にとって最も使いやすく安全な施設を目黒区の責任で作る方向に変えられるかどうかが4月の区長選挙にかかっています。
区長選挙に向け市民連合の新たな動きが
区長選挙に向け区民の方々が結集し昨年8月に50人規模の集会を開いて「みんなの目黒をつくる会(みなめぐ)」が立ち上がりました。これまでにない動きです。私たちしろめくろめの会は5人の世話人と数人の協力者とでささやかに運営していますが前身の住民運動団体時代は区内の労働組合や民主団体からなる大きな団体で毎年のように住民集会を開催してきました。その時代を含めると半世紀以上も目黒区で活動してきましたが「みなめぐ」のメンバーはほとんど知らなくて、こんな運動を50年もしている人たちがいたんですねと驚かれました。お互い新しい世界が広がった感じでした。しろめくろめの会では岸本杉並区長誕生の話を杉並革新懇の小関啓子さんに、中野区長選挙で2連勝した話を「区民の声・中野」共同代表の韮澤進さんに報告していただき、「みなめぐ」のメンバーともども大いに励まされました。現時点(2月中旬)で「みなめぐ」の候補者は決まっていませんがこれまで現職区長の与党であった自民党が今回は支持しないで幹事長が立候補を表明しています。区政白書で明らかにした現職区長のひどさに影響された可能性もあります。私たちの取り組みが住民の輪を広げ新たな区政誕生の糧となればと思っています。
おまけ ようやくSNSにめざめたが
「みなめぐ」は働く女性が中心でSNSとオンライン会議、時々ミーティングという今時の運動スタイルです。私たちは学習会をして本を出し、チラシで宣伝するという旧態依然とした運動です。それでも目黒区内に7店ある書店のうち3店で区政白書を扱っていただけました。「今の区政を批判する本ですが」といっても「ああ、いいですよ」といってもらった時はとても嬉しかったです。目黒区内に7店しかないことも驚きでしたがどこの書店も経営は大変で3店のうち1店は昨年末に閉店となってしまいました。やはりSNSも必要と考え、しろめくろめの会もX(ツイッター)やブログを始めました。更新も大変ですしフォロワー数も増えませがめげずに続けようと思います。よかったらのぞきに来てください。https://siromekurome1192.amebaownd.com/
「目黒区政白書2024」(A4版フルカラー160ページ、千200円)は東京自治問題研究所(☎03・5976・2571)で扱っています。
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