目黒区の区長専用車は必要か?

※目黒区政白書2024より。A4版160ページ。1200円。他にも記事多数。ご注文はmsiromekurome@gmail.comまで。

アイドリングが多く年間5トンのCO2を排出

 青木区長専用の区長車はトヨタアルファード(排気量2500㏄、ハイブリッド、7人乗り)です。2022年度は借上げ代が年間662,640円、運行費用が13,062,000円でした。運行費用の基本料金は4,884,000円なので差額の8,178,000円は時間外、深夜、土日祝日などの特別料金になります。なぜこんなに特別料金が高いのかというと土日祝日夜間に長時間乗り回しているからです。2022年度の運行記録を見ると区長車が稼働しなかったのは年末年始4日、ゴールデンウイーク2日、夏休み3日、区長が長崎に出張した10月13日の合計10日間だけです。残りの355日は朝から夜遅くまで使っています。1年間の走行キロ数は12,276㎞、使ったガソリンは2,187ℓです。平均燃費は5.6㎞/ℓでアルファードハイブリッドの平均実燃費11.5㎞/ℓ(e燃費調べ)の半分以下です。なぜこんなに燃費が悪いかというとほとんど走らないで止まってアイドリングしているからです。2022年4月の1か月でみると出庫から入庫の時間合計を30日で割って1日の運行時間を出すと平均7時間41分になります。4月の一日の平均走行距離は33.9㎞なので実際に走っているのは1時間程度で残り6時間以上はアイドリングしていることになります。ガソリンを1ℓ燃やすと2.3㎏のCO2を排出します(環境省資料より)。区長車は年間2,187ℓ使っているのでCO2排出量は5,078㎏、約5トンとなります。新車が2台買える1,300万円以上も支払って5トンのCO2を排出してまで区長車は必要なのでしょうか。

土曜日に非公用で13時間使用し36,700円を税金から支出

 区長車の運行記録と照らし合わせるために区長の行動を秘書課に確認するとホームページに載せているというので「区長の行動」を確認しました。時間の記入もなくおおざっぱで専用車を使うような公用は2日に1回ぐらいしかありません。そこで区長のスケジュール表を開示請求しました。そこには#ご予定あり、#区長室で執務、#様来訪などの#で始まる予定が多くありました。秘書課に聞くと#は公用ではないことを表しているとのこと。区長が時間中に私用を行うことはしかたないかもしれませんが私用に区長車を使っているのです。区長は2020年第1回定例会で区長車を私用で使うルールとして公務と公務の間や公務の後に公務を効率的に執行するための使用は許容される範囲であると答弁しています(2020年2月20日)。しかし例えば2022年4月30日は土曜日なのに#区長室で執務という非公用で朝9時から夜10時過ぎまで13時間以上も区長車を使用しています。走行距離は31㎞なのでほとんどアイドリングしていました。公務が1件もなく13時間も区長車を使っているのは「許容範囲」を超えています。運転手は土曜日の8時30分に出勤し22時45分に終了しているので14時間15分は全部特別料金となり、少なくとも36,700円を区長の私用のために税金から支払ったことになります。

港、新宿、渋谷など夜の街に区長車で出動

 区長専用車の運行記録に不思議な点があります。目黒区外への移動です。区長会総会に出席するため千代田区に行くなどは理解できるので千代田区を除いても1年間に106回も他区に区長車で移動しているのです。もっとも多いのが港区の41回、次が新宿区の22回、続いて渋谷区20回、大田区10回、品川区8回、世田谷区3回、文京区と中央区がそれぞれ1回です。さらに特徴的なのが106回の区外移動のうち48回がそのまま自宅に帰っていると思われることです。それもほとんどが22時から24時の深夜です。区長のスケジュールでは#ご予定ありで場所の記載は「個人生活に関する情報が含まれているため」黒塗りで見る事ができません。これはどう理解すればよいのでしょうか。目黒区に住んでいる目黒区長が週2回の割合で港区や新宿区、渋谷区など繁華街のある区で深夜まで何かをしているのです。区外に出るのは目黒区内ではみんな区長の顔を知っているので困るからでしょう。終われば自宅に直行して寝るだけ、そんな生活を12月は週3回も繰り返しているのです。

運転日誌と区長スケジュールを照らし合わせてみると


区長車の2022年5月23日(月)から5月26日(木)までの運転日誌です。月、火、水、木と4日続けて区役所に車が帰ってきたのが夜の11時過ぎの深夜です。26日(木)は渋谷区に行っていますが次の区長のスケジュールにあるとおり私用です。


 上は2022年5月26日(木)の区長の実際のスケジュールです。日中は内部の打ち合わせだけです。夜の予定は#がついているので公用ではありません。右端の配車が■になっているのは運転手名が載っているから黒塗りにしたので区長車で出かけたことがわかります。その時間は運転日誌から18時10分から23時45分までの5時間35分です。行き先は渋谷区のどこかです。つまり公用と公用の間でも、公用の後についでに使ったわけでもなく私用のためだけに5時間35分も区長車を使ったのです。明らかに議会での答弁を逸脱しています。(アンダーラインや囲みは筆者)

わざわざ区長車だけドライブレコーダーをはずした

 青木区長は区長車になぜドライブレコーダーを付けていないかについても区長車の私的利用について答弁した同じ日(2020年2月20日)に答弁しています。ドライブレコーダーの運用基準や個人情報の取り扱いが検討中だったので搭載を見送ったというのです。ところが6年前一緒に契約した議長車にはドライブレコーダーがついています。同時契約した2台のうち区長車だけドライブレコーダーをはずしたのです。ドライブレコーダーの設置は事故の原因究明や過失割合の算定などに必須です。ましてや公に責任のある区長の専用車に付けないというのは理解できません。自分の行動を知られたくないからとしか思えません。答弁から3年経ってもいまだに付けるか付けないかの結論が出ないのではそう思われても仕方ないでしょう。

結論、区長車は必要なし

 杉並区の岸本聡子区長は公約通り区長車を廃止しました。自宅から自転車で通勤、移動は職員が運転する庁用車です。全く問題はありません。青木区長は2022年2月1日に2050年にゼロカーボンシティの実現を目指すと宣言しました。2023年7月からは電気自動車のカーシェアリングの試行をはじめ、1台を目黒区専用としています。区長車をやめて電気自動車で移動すれば1,300万円の節税と5トンのCO2の削減ができます。議長車も同様です。議長車は運行日数や運行時間が区長車より少ないため車両代と運行費用あわせて8,396,520円(2022年度)ですが庁用車で十分です。区長車は区長しか使っていませんが議長車は空き時間に区議会事務局職員や議員が利用しています。千代田区で開かれる区長会や議長会に電気自動車や庁用車で現れれば称賛されるに違いありません。

【追記】 区長車と議長車のアルファードは2017年に契約してから6年以上ずっと同じ車両です。議長車はいろいろな人が使うので内部はそのままのようですが、区長車は青木区長しか使わないので彼なりに使いよくしていると思われます。区長車の内部を撮影させてほしいと秘書課長に申し入れたところ「なんであなたに見せなければならないのか」「断ります」とすごい勢いで拒否されてしまいました。区長車は区長の私物ではなく区の税金で借りている区民の財産です。その区民が内部を撮影するのがなぜいけないのでしょう。何か都合が悪いことがあるのでしょうか。

しろめくろめ

しろめくろめの会(明るく住みよい目黒を考える会の略称)の世話人の一人が運営するホームページです。目黒区政に係る情報を発信しています。

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