2024目黒区長選挙しろめくろめビジョン
私たちが望む正義と連帯の目黒区
2024年こんな目黒が欲しかった しろめくろめビジョン
明るく住みよい目黒を考える会(しろめくろめの会)では2024年4月に予定されている目黒区長選挙に向けて多くの方々からご意見をお聞きし、青木区政の実態と区民のための区政のあり方について検討してきました。それらをもとに「こんな目黒が欲しかった しろめくろめビジョン 私たちが望む正義と連帯の目黒区」と題して区政政策(案)をまとめました。多くの皆様のご意見をもとにさらに充実し、民主的区政実現の一助になればと思います。
ビジョン案をつくるにあたって2022年6月に杉並区長に当選した岸本聡子さんの「公共の回復」「地域主義の復権」という考えに強く影響されました。岸本さんの近著から一節を引用します。「ひとことでいえば、『公共』の役割と力を取り戻すこと。そして、地域の住民が主体となって、自分たちの税金の使いみちや公共の財産の役立て方を、民主的な方法で決めていくということです。〈中略〉私が長く暮らしていたヨーロッパでは近年、こうした民営化の流れを止め、住民が地域の公共財産を自分たちで民主的に管理する仕組みを作り直そうとする動きが各地で生まれています。そして、こうした住民運動を母体として自治体ごとの市民政党がつくられ、首長や地方議会の選挙で勝利し、国の政府やEUといった大きな権力にも厳然として物申していく―このような現象は、『再公営化』『ミュニシパリズム(地域主権主義、自治体主義)』、そして『恐れぬ自治体(フィアレスシティ)』という言葉でとらえられています。」(大月書店刊「地域主権という希望」より)
〇日本国憲法の平和、民主主義、基本的人権、地方自治を守り暮らしの中に生かします
日本国憲法の3原則に地方自治を加えました。憲法第8章地方自治に「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」(第93条)とあるので首長は議会が選ぶのではなく直接区民の投票で決めることができるのです。国政が小選挙区制により民意が反映されにくくなっているなか大統領選挙のように直接投票で日本の政治を変える鍵が地方自治体にあります。
〇すべての子どもの人権と女性の権利が守られる目黒区に
【国や都に】
・子どもにとって最もよいことは何かを第一に考え行うこと
国連の「児童に権利に関する条約」は1989年に国連で採択され現在196の国、地域が批准している世界で最も広く受け入れられた人権条約です。日本は1994年に批准しています。差別の禁止、子どもの最善の利益、生命、生存及び発達する権利、子どもの意見の尊重の4原則のひとつからとりました。
・公的サービスの質の低下を招き子どもの安全を損なう産業化をやめ公立保育園運営費、建設費国庫補助を復活すること。
公立保育所運営費は小泉政権時代三位一体改革の一部として2004年に一般財源化(地方交付税化)され、国1/2、都1/4、区1/4負担であったのが全額区負担となりました。私立保育所の負担割合は変わりませんでした。公立保育園を新設する場合も2005年に一般財源化され、国1/2、都1/4、区1/4が全額区負担となりました。私立保育園の負担割合は国1/2、都1/4、設置者1/4となりました。国庫負担の一般財源化は公立保育園民営化の引き金となりました。23区は地方交付税の不交付団体なので一般財源化はさらに不利になります。しかし三位一体改革は地方財源の充実という面もありました。また不交付団体ということは財政に余裕があるということであり一般財源化即公立保育園削減ということにはなりません。
・都区財政調整制度を利用した民営化、委託化促進をやめること。
本来市町村で行う水道、消防、病院などの事業を東京都が行う代わりに市町村税である固定資産税などの税金を東京都が徴収しています。また23区の格差を是正するために標準となる区の歳入・歳出を計算し各区に配分しています。この都区財政調整制度の中に公立保育園の民営化などのリストラを盛り込むことで各区の行革を進め、都の取り分を確保しています。本来23区が自主的に決めるべき配分を都が決めていること自体が問題ですが少なくとも各区のリストラを推進する計算根拠を改めるべきです。
・女性差別撤廃条約選択議定書を批准すること。
女性差別撤廃条約は1979年に国連で採択され日本は1985年に批准しています。しかし実効に乏しかったため個人通報制度や国連の委員会による調査制度などが盛り込まれた条約の選択議定書が1999年に採択されました。条約締結国189カ国中115カ国は選択議定書も批准していますが、日本は女性のみ一定期間再婚禁止、夫婦別姓を認めないなど、国内の裁判に影響があるとして選択議定書を批准していません。あわせて国際人権(自由権)規約の第1選択議定書(個人通報)と第2選択議定書(死刑廃止)の批准もすべての国民の人権を守るために求められています。
【私たちは】
・児童の権利に関する条約、こども基本法、目黒区子ども条例に基づいた子どものための施策を行います。
子ども基本法は日本国憲法と子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)(日本は1994年批准)に基づいて作られた国内法です。2023年4月に発行し同時に子ども家庭庁が発足しました。目黒子ども条例は2005年に全国で4番目、23区でも世田谷区に次いで2番目に制定されました。しろめくろめの会の宇田川妙子さんも公募区民として参加した「子ども条例を考える区民会議」が条例の考え方をまとめました。条例には子ども総合計画の策定や子ども施策推進会議の設置などが盛り込まれ実行されています。
・区民の財産である直営の保育園、児童館・学童保育クラブを維持拡大します。
10年前の目黒区の保育園は区立22園、私立9園でしたが、2021年には区立17園、私立80園と逆転しています。区立は最終的に10園になってしまう予定です。原因は国の補助金が区立だと出なくなったためです。目黒では株式会社立の4園、3社で総額3,437万円の補助金不正受給事件がおきました。株式会社立への運営補助金を他区の保育園建設や本部への上納金に使い人件費を30%台にする例も見られます。私立の水準を上げるためにも、また公立を希望する多くの保護者の期待に応えるためにも区立保育園の維持拡充が必要です。22カ所あった公立学童保育クラブのうち8カ所が民営化され今後3年間で6カ所が民営化される予定です。目黒区は学童保育(・・)クラブとして単に預かるのではなく児童の成長をはぐくんできました。民営化でその成果が引き継がれていません。施設数が希望数にたいして圧倒的に少なく50人定員に120人が利用しているところもあります。民営化後契約通り人が配置されているか、運営がされているか保育園のように都と区によるチェックではなく、区のみで実施するため、保育園と比べるとチェック機能が弱い民営化となっています。直営の維持と施設の拡充が必要です。児童館も2カ所が民営化計画にのっていますが地域に根ざしてきた児童館の民営化に反対の声が起きています。目黒区民センターの管理運営が運営会社にまかされると児童館、学童保育クラブは運営会社が委託先を決めることになり区が責任を持てなくなります。目黒区に児童相談所が設置される場合20人といわれる保育士や児童指導員の配置が予定され、保育園や児童館等の職員を活用していくとされています、しかし正規職員は欠員状態であり児童相談所を支援するには直営の保育園、児童館、学童保育クラブの維持と欠員を生じさせない体制づくりが不可欠です。
・安全でおいしい学校給食の復活のため正規職員による直営校を再建します。
学校給食調理業務の委託がはじまって24年が経ちました。最近3年分を検証したところ異物混入74件、アレルギー食ミス14件など122件も事故がおきていました。年々技術が低下していると指摘されています。会社のもうけを出すため人件費が安く抑えられています。給食は生きる力の源です。子どもへのしわ寄せは許されません。また文科省の調査「防災に役立った学校給食」で取り上げられた11自治体のうち7自治体が直営を残しています。委託では災害時に対応できません。直営の拠点校を設けることでおいしくて安全な学校給食を復活します。
・統合方針「望ましい規模の区立中学校の実現を目指して」を子どもの利益の視点から見直します。現在進められている西・南部地区の区立中学校統合については、子ども、保護者、関係者の意見を再度聞いて決定していきます。
2027年度中に7中を9中に、8中を11中に統合する案が進行しています。初めから統合ありきの「学校統合推進課」の名称、長く危険な道路、競争が激しくなる、地元の中学がなくなることのコミュニティに与える影響、7中、8中にある特別支援学級も移動するなど問題があります。当事者である子どもの意見が聞かれていません。目黒区子ども条例にあるとおり「子どもは、自分にかかわりのあることについて意見を述べたり、仲間をつくったり、様々な活動に参加したりする権利が尊重されなければなりません」(第12条)。私立中学校への進学が増え区立の在籍率(2021年度50.3%)はさらに低下が予想されます。統合先の9中、11中は区界にあり不便な立地です。廃止になる7中、8中は便利な立地で市場価値も高く、これが「資産経営」を旨とする目黒区の真の狙いではないでしょうか。
・ジェンダー平等に取り組みます。LGBTQに役立つように男女平等参画条例を充実します。
SDGs(持続可能な開発目標)の重要なテーマでもあるジェンダー平等は社会的・文化的に作られた性別(ジェンダー)を取り払い、その個性と能力を発揮できる社会をつくることです。2023年の日本のジェンダー指数は146カ国中125位と過去最低です。目黒区は2002年に「男女が平等に共同参画する社会づくり条例」を23区で最も早く制定し区民とともに運動を進めてきました。2000年には条例の名称に「性の多様性の尊重」が追加されLGBTQの方が生きやすい社会づくりが求められています。
・学校給食費を無償化します。低農薬食材の利用や地産地消を進めます。
2023年6月30日現在、23区で学校給食の無償化を全く実施していないのは目黒区を含め4区だけです。2023年度の学校給食費は1食小学校低学年247円、中学年267円、高学年289円、中学生333円です。1年間200食として年間の給食費は低学年49,400円、中学年53,400円、高学年57,800円、中学生66,600円となります。低学年、中学年、高学年、中学生の4人兄弟だと1年間の家計への負担は227,200円に上ります。本来国が無償化すべきですがそれまでは目黒区も無償化にします。(目黒区は2023年10月から小中学校給食無償化のための補正予算を計上しました。)
・私立保育園の保育の質を確保するため保育所運営費における人件費率が一定以上の割になるように規制します。
世田谷区では、私立保育園に対する保育所等運営費助成金(区加算)の交付要件に、前年度の経常収入に対する人件費の比率が50%以上であることを設けています。「人件費は人件費に」、自治体が保育の質と保育士の処遇を担保し防波堤となっている取組です。目黒区でも同様の規制を設けることを要望しましたが、まったく聞く耳を持ちませんでした。
・子どもの貧困が問題になっています。義務教育の保護者負担を減らすことに取り組み、就学援助についても拡充します。
厚労省が発表した、2022年の子どもの貧困率(18歳未満の相対的貧困率)は全体では11.5%、ひとり親世帯では44.5%です。(OECD平均は31.9%)
日本国憲法第26条第2項は、義務教育は、これを無償とする。と定めています。ところが実際には、さまざまな費用負担が保護者にかかっています。制服や道具箱、アサガオなどの栽培キット、実験用教材、ドリル・ワークなどがその例です。金額も、ここ数年で大きく増えていることが報道されています。これらの私費購入分を補助する「就学援助」では十分に賄えない実態があります。区からの助成額を増やせないか検討します。
・保育園の定員割れにより園の運営に影響が出ています。NPOや地域の社会福祉法人の保育が継続できるよう対策を行います。
世田谷区では保育や介護事業の参入の条件に、地域の中で長年小規模に丁寧に保育事業を行ってきた非営利事業者、地域の福祉に社会福祉法人に限って参入していただくという方法が実施されています。こうした事例を学んで目黒区でも取り入れます。
また、定員割れに対する補助金の拡充も検討します。
〇だれもが安心して暮らせる目黒区に
【国や都に】
・生活保護の水準を憲法第25条にふさわしい基準に引き上げること。目黒区など家賃水準の高い地域の住宅扶助基準を実態に合わせて改善すること。
生活保護の基準は高齢者単身世帯で月131,680円、高齢者夫婦世帯で月185,480円です(2021年4月)。これでは物価の高い東京で暮らすのは困難です。特に住宅扶助は単身で53,700円と低く目黒区でアパートを見つけるのは至難の業です。結局目黒区を出て家賃の安い地域に転居せざるを得なくなっています。
・シルバーパスの2段階の所得段階を5段階程度に増やすこと。
2000年から有料となった東京都のシルバーパスは非課税か合計所得135万円以下の方は1,000円、それ以外の方は20,510円と極端に負担額に差があります。利用率は約46%(2018年 )ですが所得による段階を設けることによって負担を減らし利用者を増やすことが健康寿命を延ばすことにつながります。
・国民健康保険や後期高齢者医療保険の高すぎる保険料や医療費の負担軽減に特別区とともに努力すること。
2023年度の目黒区の国保料は最高で年104万円です。「高すぎて払えない」2018年から始まった都道府県単位化の下で、国保制度をめぐり、深刻な矛盾や切実な声が噴出しています。高すぎる保険料が滞納を生み出しています。国保は他の医療制度に比べて加入者の所得が低く個人負担には限界があります。公費負担を抜本的に増やし保険料を引き下げるよう求めます。均等割りは所得がない子どもにも一律に負担を強いる現代の「人頭税」です。当面18歳以下の均等割りを廃止すべきです。後期高齢者医療保険料や医療費負担の引き下げを求めます。
・東京都の都営住宅の削減計画を撤回させ、都営住宅の新規増設や建て替えを求めます。
目黒区は全都で最も都営住宅の少ない区です。石原都政以来22年間、新規建設はゼロ、団地の高齢化や超高倍率など居住者と入居希望者に大きな困難を押し付けています。小池都政が2022年3月30日、「東京都住宅マスタープラン」を発表し、都営住宅を2030年までに17万1千戸(現状は25万戸)とする大幅削減計画を強行しようとしています。
【私たちは】
・生活に困窮している人に生活保護制度の利用を促すため、積極的な広報や相談活動を行います。生活保護の申請がなされたときに本人の意思に反した扶養照会は行いません。
「生活保護の申請は権利です」というポスターを作成し、生活保護申請書をホームページでダウンロードできるようにします(魚沼市の例)。
「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養照会を行わないということをホームページにも明記します(足立区の例)。
生活保護を利用できる世帯の方が利用できていない状況は、区の責任でもあります。何が利用の障害になっているのか調査し改善します。区として街頭生活相談を実施したり生活に困っている人がいないか地域を訪問しての聞き取り活動を強化したりします。窓口で待つ福祉だけではなく、「訪問する福祉」を実現します。
・障害者が65歳以降も障害者福祉サービスを利用できるようにします。高齢者福祉と障害者福祉の縦割りをなくし、総合的な地域ケア包括システムに発展させます。
65歳になると障害福祉よりも介護保険が優先され自己負担が発生するいわゆる「65歳問題」について2023年3月24日東京高裁は千葉市に住む73歳の障害を持つ男性の障害福祉の継続の訴えを認める逆転判決を下しました。目黒区でも本人の希望によって障害福祉を継続できるようにします。
・補聴器購入助成は所得制限なし、現物支給、専門家による装着支援を行います。
すでに18区が実施している高齢者の補聴器購入助成ですが目黒区もようやく2023年6月の議会で区長が実施を約束しました。すでに実施している区のなかで新宿区と江東区の利用が圧倒的に多くなっています。その特徴はお金ではなく補聴器を現物支給していること、所得制限がないか緩やかなことです。また補聴器を使うには言語聴覚士のいる医療機関での指導が必要です。江東区は1,000万円以上払って医師会に委託しています。難聴者は高齢者だけではありません。補聴器購入助成を18歳以上に拡大することを検討します。
・生活保護世帯に支給されている入浴券を近隣区の銭湯も利用できるよう契約を変更します。
生活保護世帯の法外援護として支給されている入浴券は目黒区内の銭湯でしか利用できません。東京都浴場組合と契約し直し近隣区の銭湯も利用できるようにします。
・区内の大きな病院を循環するバスを運行します。さんまバスを走らせる会とも連携します。
23区で自治体が関与するコミュニティバスがないのは中野区と目黒区だけです(ウイキペディア調べ。中野区は一般路線になり、目黒区はNPOが運行する自由が丘のサンクスネイチャーバスがあります)。厚生中央病院(三田1丁目)や東京共済病院(中目黒2丁目)を経由するコミュニティバスを走らせることで患者と家族だけでなく一般の区民の利便も向上します。北部地域から目黒区役所を経由する循環バスを走らせようと検討している「さんまバスを走らせる会」とも連携します。
・障害者の親なき後を支援する直営の障害者グループホームを設立します。
障害者が親なき後も安心して暮らせる障害者グループホーム(障害者総合支援法に基づく共同生活支援施設)は区内に特定非営利活動法人(NPO)立が3カ所、社会福祉法人立が5カ所、計8か所あります。需要は多いのですが個人や共同で新たに設立するのは多くの困難を伴います。区立の障害者グループホームを設立することで受け入れ枠を増やすと同時に新たな設立の援助をします。一人暮らしを希望する場合はサテライト型住居(障害者グループホームの近隣で支援を受けられる居室)を用意します。
・障害者の安全のためにも災害時の被災調査、避難経路の確保を行います。
・災害時避難について、避難所・避難施設の確保、災害弱者・帰宅困難者・女性・高齢者に配慮した避難施設整備に取り組みます。また、地域で炊き出しの拠点として活用できる小中学校を給食調理の直営を復活させ、本格的な防災拠点として整備します。
障害者が親なき後も安心して暮らせる障害者グループホーム(障害者総合支援法に基づく共同生活支援施設)は区内に特定非営利活動法人(NPO)立が3カ所、社会福祉法人立が5カ所、計8か所あります。需要は多いのですが個人や共同で新たに設立するのは多くの困難を伴います。区立の障害者グループホームを設立することで受け入れ枠を増やすと同時に新たな設立の援助をします。一人暮らしを希望する場合はサテライト型住居(障害者グループホームの近隣で支援を受けられる居室)を用意します。
・生活保護世帯も目黒区に住み続けられるよう低所得者への家賃補助制度を充実します。
生活保護の住宅扶助が大都市の実情に合わせて改善されるまでの間、障害者グループホームの家賃に国から支給される補助に自治体独自の補助を加えている例があるように低所得者に向けた家賃補助制度を充実します。
・福祉事務所のケースワーカーの配置を充実しきめ細かな生活支援を行います。
目黒区のケースワーカーは1人80世帯の生活保護世帯という基準ぎりぎりです。他区では基準が守られず事故が起きています。格差が広がり低額の年金受給者が増える中で生活保護を必要とする世帯が増加しています。人員配置を充実し人権意識、専門知識を深める研修等を行います。
・住まいは人権!高齢者等およびファミリー世帯家賃助成を改善します。
高齢者世帯等居住継続家賃助成は条件が厳しく抽選で当たっても家賃の20%を6年間しか支給してくれません。ファミリー世帯家賃助成は当選しても月2万円を3年間支給されるだけです。目黒区内の低所得者向き公営住宅は区営住宅595戸、都営住宅637戸(23区平均7,043戸)と他区に比べて圧倒的に少ないため家賃助成は大幅に改善する必要があります。
・目黒区居住支援協議会の事業を強化します。
2022年5月に設立された同会ですが、高齢者、介護者、生活保護の状況がわかるメンバーを含め、福祉政策との連携を強化しながら各事業を拡充します。
・区の職員住宅、区内の大企業の社宅などに空き家が目立ちます。調査して活用を検討します。
社員の福利厚生はもう必要なくなったのか?区内の社宅の空き状況を調査し、良質な住宅環境も多いので活用方法を検討します。
職員住宅は2020年度にすべて廃止されました。ヘルパーの住宅にと要求したら老朽化していると断られたそうです。改修するなどスピーディに活用方法を決定します。
・感染症から区民の命を守るため保健所を充実します。
新型コロナ感染拡大時の保健所のひっ迫は、命にかかわることでした。碑文谷保健センターの建替え先が決まっていません。
〇区の財産を企業のもうけのためでなく区民のために残し役立てる目黒区に
【国や都に】
・大企業のために自治体財産を提供するのはやめること。
政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2015で社会資本や公共設備の整備・運営にPPP/PFI手法を優先的に導入することを決め、自治体にも固定資産台帳の整備や公的不動産の利活用などを求めました。翌2016年には総務省が「PPP/PFI推進アクションプラン」を策定、毎年改訂され現在に至っています。財界の要求に沿って自治体財産を大企業の利潤追求の手段としているのです。
・PPP/PFIの失敗例を検証し施策の是非を再検討すること。
PPP(公民連携)/PFI(民間資金活用型公共事業)事業は成功例のみが宣伝されますが多くの失敗、破綻事例が報告されています。その原因は需要の過大な見積もり、情報が公開されず外部チェックができない、事業者の破綻、発注者側の能力不足などです。PFI本家のイギリスは新たなPFI事業を中止しています。事業開始後も運営費を払い続けるため自治体(住民)の負担を少なくすることが目的なのに結果的に大きな負担を強いられることになります。
・神宮外苑再開発はやめ、伝統的景観と貴重な樹木を残すこと。
神宮外苑は戦後、国有地を国民が利用できアマチュアスポーツが安くできるなどの条件付きで明治神宮に譲渡された事実上の公共空間です。再開発ではラグビー場が屋内で人工芝、コンサートのできる施設になり新たな球場の脇の185メートルの高層ビルが上から見下ろします。1000本の貴重な樹木が伐採されイチョウ並木も球場が隣接するため枯れる恐れがあります。なぜ高層ビルを立てなければならないかの理由がありません。反対署名は21万筆を超えています。施設は耐震補強済で補修すれば使いつづけられます。三井不動産などの大企業のための再開発はやめ100年かけて作り上げた景観と樹木を守るべきです。
【私たちは】
・目黒区民センターの見直しは民間デベロッパーに丸投げせず区民とともに区民のために区が責任を持って進めます。
老朽化し改修を含めて検討が始まった目黒区民センターの見直しはいつの間にか小学校や周辺施設を取り込み、高さ70メートルの商業施設も含めた複合施設計画となってしまいました。商業施設がマンションであれば70年の定期借地権付きで分譲価格は1億円を超えるでしょう。超富裕層しか入れません。しかし60年も経てば老朽化しあと数年で更地になるマンションは誰も買いません。コミュニティも崩壊します。商業施設を入れれば区の負担が少なくなるといいますが上部にタワーマンションを併設した豊島区役所は周辺整備に多額の区費が投じられ区の所有面積は削られ区役所の意見は何も通らない狭く使いづらい庁舎でした。目黒区民センターも民間の利益を優先するため公共スペースは半減し極めて使いづらい施設になるでしょう。区民が使いやすい区民センターに作り直すのに税金を使うのがなぜいけないのでしょうか。民間施設はいりません。区有施設見直しのリーディングプロジェクトとして区民による区民のために目黒区民センターを実現します。
・区有施設見直し計画を見直します。学識経験者は公正に選定します。
・区有施設の使用料を抜本的に見直し、大幅に減額します。
2025年度改定に向けてパブリックコメントが実施されました。使用料の算定方法を見直し、使用料に資本的経費も算入する方向で検討が行われています。例えば中野区では、地域活動登録制度があり、公益活動(地域自治活動、健全育成活動、支えあい等の活動、環境保全活動)を行う区民団体が、その活動目的や内容を区に登録することにより、集会室等の使用料を免除されます。使用料の減免で区民の活動を応援します。
・公園の立体化は公園を区民から遠ざけ、災害時の避難場所にもなりえないことから反対します。
新たな目黒区民センターの基本計画(素案)では区民センター公園について「立体化等による公園の区域拡大も検討します。」とあります。都市公園法で立体公園が認められたのは中央区で3階建ての保育園の上に公園を作ったように土地確保の難しい大都市で公園用地を確保するためです。区民センター公園は1万㎡の広さがあり立体化する必要はありません。渋谷区の宮下パークは4階建ての建物の上に作られましたが夜間、年末年始は利用できません。これでは災害時の避難場所として機能しません。気軽に入ることができ災害時のよりどころとなる平地のままの公園とすべきです。
・公園のトイレを改修し、誰もが利用しやすくします。
2022年4月現在77%の公園等においてトイレの洋式化が行われているそうです。最近は園庭のない保育園の子どもたちも外遊びに利用します。早急に改修を進めていきます。
・図書館を基本方針に基づいて充実をはかります。職員の正規比率を高め、窓口業務は直営にします。
図書館は地域の文化のよりどころ、知識や歴史を集積する場です。行政改革の一環で2005年から貸出返却業務の民間委託が開始され、2015年には分館7館の全面委託が行われました。しかし、民営化が相容れないと直営に戻した自治体もあります。
今後とも
・教育機関として教育委員会の管理の下に政治的中立性を保つ。
・目黒区立図書館基本方針を充分に活かす。
・区民・利用者と図書館が密接な情報交換を通じてともに考え、ともに協力することを基本に充実を図ります。
また、民間委託により、司書知識の経験や蓄積が図られているか、レファレンス機能が落ちていないかなどの検証を行います。
〇環境にやさしく持続可能な目黒区に
【国や都に】
・原発、石炭火力発電は廃止し再生可能エネルギーに転換すること。
地球温暖化を防ぐためにCO2排出量を今すぐゼロにしなければ間に合わない時点にさしかかっています。しかし日本の発電に占める化石燃料(石炭、天然ガスなど)の割合は72.4%(2022年)であり、自然エネルギーは22.7%にとどまっています。原子力発電は4.8%ですが将来への負担、危険性から即時停止すべきです。エネルギー自給率を高めることは生活の安定にもつながります。
・太陽光パネルなど再生可能エネルギーはそれ自体の環境負荷の低減を工夫しながら積極的に設置を進めること。
CO2削減に再生可能エネルギーの利用は不可欠です。東京には多くの建物、駐車場等があり、太陽光パネルの設置が有力な方法です。一方で蓄電池に使用されるレアメタルの発掘、精製、再利用が環境に及ぼす影響や景観に与える影響を考慮し関係住民とともに利用拡大を進める必要があります。
【私たちは】
・温暖化対策推進都市を宣言し、具体化のための条例を作ります。
・今後建設する区の施設は木造など省エネ設計とします。
施設の屋根や壁、窓の断熱化、地熱利用などで省エネを進めます。最近11階建て44mの高層マンションが木材で建てられました。地震に強く火災にも強い工夫がされています。断熱効果もあります。高齢化した人工林を使用し後に植樹することでCO2吸収力も復活します。木造は鉄筋より短期的には割高ですが区の施設を率先して木造化することで利用者にも優しく環境保護のアピールもできます。
〇個人の権利を守り、開かれた目黒区に
【国や都に】
・返礼品目当てのふるさと納税をやめ、本来の姿に戻すこと。
2022年度のふるさと納税額は9654億円と1兆円に迫る勢いです。目黒区も約34億2千万円が流出しました(2021年度)。これは高齢福祉費の約6割に当たる大きな額です。雅叙園ホテル宿泊券などの独自返礼品を設けても目黒区への寄付は約3億5689万円でその差は埋まりません。本来見返りを求めない寄付であるべきふるさと納税が返礼品目当ての税逃れ行為になっています。高額所得者ほど利益が多いのも問題です。またふるさと納税の半分が経費として失われています。政府は是正するどころか2015年に上限を2倍にし、サラリーマンは確定申告不要としたため急増しています。ただちに返礼品をなくし、ふるさとへの寄付に変えるべきです。
・マイナンバーカードの強制はやめること。
マイナンバー制度は社会保障、税、災害対策のために全国民に割り振られた12桁の番号です。統一番号は先進国に例がなくこれ自体危険です。「医療保険、介護保険ともに、マイナンバーを活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて検討する」(骨太の方針2015)とあるように給付抑制が目的です。マイナンバーは企業も従業員や家族の社会保険、源泉徴収などのため取得しますが他人にむやみに提供するものではなく不正取得は罰せられます。マイナンバーカードは本来マイナンバーと身分を証明するためのもので取得は任意です。問題はマイナンバーカードに電子証明機能(ICチップ)が付けられていることです。カード表面には記載されていない健康保険証や公金受取口座、e-Tax、運転免許証などの機能をもたせることができます。カードの交付率はマイナポイントがはじまるまでは2割以下でしたが2度のポイント制度で交付率は7割になりました。そのためのマイナ経費は2兆円を超えています。さらに既存の健康保険証を廃止して事実上の強制とする考えを打ち出しました。カードが普及しないのは便利ではなくカードを持ち歩くこと自体が危険だからです。まずIT先進国のように安全で利便性の高いシステムの構築が先決です。
・都区財政調整制度の都区配分を役割分担にふさわしく見直すこと。
大都市東京では本来市(区)が行う消防や水道などの事業を東京都が行う代わりに市(区)税である固定資産税など3税を都が徴収しその55.1%を各区に配分する都区財政調整制度があります。都の取り分44.9%約8700億円は水道や消防の費用としては多すぎます。各区への配分も実質都が決めています。都区割合、各区配分とも23区主導で決められるようにすべきです。
・インボイス制度の導入中止を国に働きかけること。
インボイス制度の導入は、フリーランスで働く人や小規模な事業者が大きな影響を被ります。目黒区にも多いこれらの方たちの区民生活を大きく左右する問題です。導入の中止を働きかけます。
・「統一地方選挙」にふさわしく首長と議員の選挙の同時選挙が維持できるよう公職選挙法を改正すること。
自治体の首長と議員の統一地方選挙はスタートした1947年は100%同日でしたが首長の死去、辞職、解職等でずれて2019年時点で同日選挙は27.54%にまで低下しています。選挙を統一すれば費用も少なくなり投票率も向上します。そのために首長が任期途中でいなくなった場合残りが2年以上なら再度選挙を行い残り任期とする、2年未満なら副市長(副区長)が代行するなど公職選挙法を変える必要があります。(現在の公職選挙法では議員の任期が首長の任期の90日以内なら同時に行えるという規定〔第34条の2〕しかありません。)
【私たちは】
・国や東京都、大企業に必要な意見を伝えます。
憲法に保障された住民の生活と権利を守る最後の砦として格差の拡大や分断、弱者いじめ、富裕層優遇、環境破壊、平和の危機などに対して同じ志を持つ自治体と連帯し発言、行動していきます。
・区長公用車を廃止します。区長の行動を詳細に発表します。区長の「特権」と思われるようなものを全廃します。区長の退職金制度については例えば任期を重ねるたびに半減するなど検討し条例を改正します。
・区長選、区議選について、区独自で、候補者の公開討論会を開催します。
区長ひとりが利用する区長専用車(7人乗りの高級ワンボックスカー)は2022年度土日夜間含め355日稼働し2,187ℓのガソリンを消費し5トンのCO2を排出しました。かかった費用は1,372万円でほとんど運転手の人件費です。杉並の岸本区長は自転車で通勤し移動は庁用車にして専用車を廃止しました。目黒区ホームページの区長の行動は大まかすぎます。区長の行動を詳細に報告します。現区長は、2004年の区長選選挙公報において、区長の多選による権力腐敗を防止して透明性を確保し、公正な競争を実現できるよう、区長多選を禁止する条例を制定します。と掲げて当選しました。しかし、実現しませんでした。1期4年ごとに全額支給する区長の退職金制度を改めます。
・国による個人情報の一元的管理に反対します。すべての自己情報を自分で管理・コントロールできる情報システムを構築します。
自治体の情報化は個人の権利を守るための手段であり国家による個人の管理手段であってはなりません。99%の行政手続きがオンラインでできるエストニアではブロックチェーン(仮想通貨にも使用される暗号化技術)によって個人情報が守られ自分で追跡できます。ハッキングからも守られ事故は1件もありません。健康保険証が別人に紐づけられるミスが7400件も発生している日本のシステムは一から作り直すべきです。
・他区に比べ少ないホームページの行政情報を充実します。
例えば目黒区は例規集を掲載していますが、港区、世田谷区など10区では要綱集も掲載しています。区民の知りたい情報がすぐにわかるよう充実します。
・天下りを廃止し外郭団体への補助金を見直します。当面退職管理条例を策定し幹部職員の再就職について具体的に公表します。
最近10年間で目黒区役所を退職した幹部(部長、課長)は58人でそのうち37人が7つの外郭団体へ天下っています。毎年目黒区が外郭団体へ推薦者一覧名簿を渡し断られたことはありません。給料も「参考基準」として示し下回ったことはありません。幹部にも退職後目黒区で働ける再任用制度があります。2023年度から公務員の退職年齢が60歳から65歳に段階的に伸びることにともなって60歳になると部長は課長に、課長は課長補佐に降格する役職定年制がはじまりました。これで天下りしないと幹部ポストが不足するということもなくなりました。多くの関係団体は自立しており天下りを必要としていません。現職天下り幹部11人の給与総額は年7,924万円(試算)です。天下りを廃止すればその分補助金を削減できることになります。
・意見を聴くだけのパブリックコメントではなく合意をめざして区民と対等に検討を重ねます。
目黒区は重要な計画などについてパブリックコメント(意見公募手続制度)を行っています。しかし形式的で本当に区民の声を反映しようとはしていません。例えば目黒区民センター見直しで「美術館は補強工事もしたことですし、このデザインのまま残して下さい。」という区民の意見に対し「全体の用地を有効活用し財政負担軽減を図ることを基本としている」と聞く耳を持たず、5つある区分の4(意見の趣旨に沿うことは困難)に区分されてしまいました。なぜ美術館を残すべきなのか、区の回答のどこが問題なのか、必要なやり取りが全くなく、聞いた事として次に進んでしまいます。重要な計画は時間をかけ、対話を重ねる中で双方納得のいくように決めるべきです。主人公は区ではなく住民です。
・各種計画に使われている耳障りのよいスローガンやキャッチフレーズを中身のともなったものにします。
「さくら咲き 心地よいまち ずっと めぐろ」「めぐろかがやきプロジェクト」「みどりを感じる・みどりと暮らす・みどりに集う みんなが主役のみどりのまちづくり」など最近の施策にはイメージが先行しています。中身のともなったものになるよう努力します。
予算、決算について区民が知りたいこと、区民に知ってほしいことを分かりやすく説明します。
現在の目黒区の予算・決算書は具体的に知りたいことがわかりません。北海道ニセコ町では、その年の目玉事業や主要な施策だけでなく、すべての事業や町の財政状況について掲載した「もっと知りたいことしの仕事」を発行しています。つまり、町にとって都合の良いことだけでなく、すべてをお知らせしています。例えば、町の借金(町債)や貯金(基金)の額、町長や職員の給料の状況、他町村との比較なども「資料編」に掲載しています。
・区の職員は「コスト」ではなく「財産」です。区の職員が快適に仕事のできる環境を整えることは、区政全体にとっても基本です。パワハラ、セクハラ、差別が起きない職場環境をつくります。
公務員パッシングなどを通じて自治体が正規職員を減らし、業務も過重労働化していった結果、労働条件の劣化と住民サービスの低下という形でツケが回ってきました。
職員の働きやすさが住民にとっても住みやすさにつながります。職員がのびのびと働ける労働環境をつくるとともに、自由に意見が言えて、チームとして動けるような職場の雰囲気が大事です。職員の労働時間短縮のための業務の見直しやハラスメントのない職場づくりに取り組みます。職員の専門性を高めるため異動の本人希望尊重、資格取得支援などを検討します。
以 上
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