目黒区長選挙2024の結果を分析する

しろめくろめの会 高村重明

2024年2月21日(日)に投開票された目黒区長選挙の結果は次のとおりでした。

氏名   得票数  得票率 年齢  所属  経歴

青木英二 25,439票 31.38% 69歳 無所属 現職(5期)

伊藤悠  20,369票 25.13% 47歳 無所属 国民民主、都民ファースト推薦 元都議

西崎翔  19,132票 23.60% 40歳 無所属 立憲民主推薦、共産・社民・生活者ネットワーク・緑の党・新社会・みんなの目黒区をつくる会・区政を変えよう目黒区民の会支持 元都議

河野陽子 12,149票 14.99% 61歳 無所属 自民推薦 元区議

瀧下隆行  3,953票 4.87% 41歳 会社員

投票率は36.21%で前回の33.33%を2.88%上回りました。特に女性は36.52%で前回の32.89%を3.63%上回りました。男性は35.85%で前回33.84%の2.01%増でした。

青木英二さんは前回支持した自民党が河野陽子さんを推薦し、公明党は自主投票となったため政党の推薦は受けられませんでした。多選批判もあり前回の30,178票から4,739票減らしました。しかし当選することができたのは現職5期の知名度と4年間の事前運動、3年で辞職し区議会議員選挙と同時にするという公約(1期目も掲げたが実施せず)、宣伝カーを使わず歩いて地域を回るなどの作戦が功を奏したと思われます。自民党の推薦を受けられなかったことも結果として良かったのかもしれません。

西崎つばささんが勝利できなかった原因は候補者決定の遅れにあると思います。みんなの目黒をつくる会が候補の一人として確認したのが3月11日(月)、8団体と政策協定を結んで正式に市民と野党の統一候補となったのが3月18日(月)で告示の27日前と有力4候補の中で最も遅れてのスタートとなりました。事前運動期間が青木英二氏は前回当選からの4年間、伊藤ゆう氏(2023年12月4日立候補表明)、河野陽子氏(2023年12月6日事実上の立候補宣言)は4か月間とすれば西崎つばさ氏の27日間というのは決定的な遅れといえます。それでも善戦できたのは市民と野党の共闘という目黒区では初めての運動の広がりにあったと思います。候補者の決定がもう少し早ければ結果は違っていたでしょう。初めて異なる団体同士の話し合いは困難で途中で何回も共闘が破綻しそうになったと聞いています。しかし共闘をあきらめず最後まで団結して進むことができたことは今後への大きな財産となったと思います。

2020年の目黒区長選挙では野党共闘(立憲、共産、社民、ネット)の山本ひろこさんが26,908票、有効投票の35.55%を獲得しました。野党共闘プラス市民なのに西崎つばささんが19,132票となったのはなぜでしょうか。それは伊藤ゆうさんの存在が大きかったと思います。伊藤ゆうさんは「20年ぶりの新風を」「教育、環境、介護、公園の4つのKに取り組む」などを政策に掲げ、西崎つばささんとの違いが分かりにくかったように思います。西崎さんと伊藤さん二人の得票合計は39,501票で有効投票の48.74%に達します。伊藤さんが青木さんと本質的に同じということが伝わっていれば結果は違ったと思います。そのことは同時に行われた区議会議員補欠選挙でも明らかです。立憲民主党の橋本しょうへいさんは28,786票を獲得し、自民党の新井かよこさんの25,767票を上回って当選しました(定数1)。この橋本しょうへいさんの28,786票が本来の市民と野党共闘の票と思われます。西崎つばささんだけが反自民反青木区長という事実が有権者に伝えきれていれば勝利できた可能性が高いと思います。

自民党推薦の河野陽子さんが12,149票しか得票できなかったのはなぜでしょうか。区議補選の新井かよこさん(自民党)の得票数25,767票の半分以下です。2023年の区議会議員選挙での自民党の得票数は23,709票ですので新井かよこさんはほぼ自・保守票をまとめたといえます。では河野陽子さんに投票しなかった13,618票の自民・保守票はどこにいったのでしょうか。町会、自治会、商店街などの自民・保守票が区議は新井かよこさんに、区長は青木英二さんに投票したと思われます。この13,618票に区議会議員選挙での公明党の票10,654票を足すと24,272票となり青木英二さんの得票25,439票とほぼ同じになります。主義主張ではなく勝てそうな候補に乗るというのが公明党の常道です。自主投票とした公明党は実際は河野さんにはまったく入れず、全部青木さんに投票したのではないでしょうか。

世田谷区長、中野区長、杉並区長と続く市民と野党の共闘による市民派区長誕生の流れは続いています。目黒区長選挙でも市民の運動が保守分裂というかつてない事態を引き起こしました。勝利するには区長選挙での市民と野党の共闘の歴史が浅かったのです。3年後行われるであろう目黒区長選挙こそ目黒の市民パワーの真価が問われると思います。

しろめくろめ

しろめくろめの会(明るく住みよい目黒を考える会の略称)の世話人の一人が運営するホームページです。目黒区政に係る情報を発信しています。

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